2016-01-01から1年間の記事一覧
この1年、自分のいるクリニックでは発達障害の診断や現在抱えている不適応や気分障害・不眠など精神科的症状に悩む人の受診が増えた。国際的な診断ツールである、ADOS-2(本人対象)やADI-R(養育者対象)を用いての出来るだけ客観的な自閉症鑑別の手段を使って…
前回のblogに書いた、多くの人が持つ疑問、2つに関連して今日は書きたいと思う。 その2つは… ・依存症にならないの? ・もう絶対やめられないのではないか どうしてそんな疑問が出てくるのかと言えば、ADHDに使う薬、特にコンサータ(メチルフェニデート徐放…
・薬を使って良くなっても意味が無いのでは? ・依存症にならないの? ・もう絶対やめられないのではないか ADHDの方に薬を使うというとき、特に勉強している家族の方からはこんな疑問を呈されることが多い。一方、医者の立場からすると、ADHDには薬が有効で…
何度も書くがdneuroは片頭痛患者でもある。 辛い発作の予防が出来ればと思う。片頭痛は診断から数十年は付き合わないといけない病気。きちんと診断されて治療をしていく必要がある。 1.まずは片頭痛の頻度を知ろう 何事もまずは情報。片頭痛治療をするにあた…
研究の講演で将来を夢見ることができることはもう10年位なかったのだが、つい先日目の覚めるような話を聞くことができたので紹介したい。 過日このようなニュースがあったのをご存知だろうか。 www.konekono-heya.com ネコはどうも腎不全になりやすいらしく…
以前も書いたが、片頭痛は辛い。 発作は耐えきれないような頭痛とともに吐き気を伴い、光や音に対する過敏性を持つことで暗い中にじっとしていないといられない。 片頭痛に関して、その経済的損失が莫大であること、特に子供においては診断までに時間がかか…
7.実行機能の発達的な障害であるというADHDの新しいモデルは、旧来のADHDモデルとは全く異なっている。 ⇛ADHDの新しいモデルは、本質的に幼い子どもの行動障害だという旧来のモデルとは多くの点で異なっている。新しいモデルではADHDの問題は、子供だけでな…
注意欠陥多動性障害(ADHD)といえば、多動、不注意、衝動性が3大症状として挙げられるのが標準的。ただ、実はその3つだけが本質というよりも、以前書いたような報酬系の不全(⇛学習できないのは報酬系の不全が問題)とともに、総合的に何か課題をこなすだけの実…
ASDに関する報道をみていると、例えば「オキシトシン」で自閉症の治療につながるという報道がある。以下は東大のプレスリリースではあるが*1。 www.jst.go.jp 「治療」というのを、病的な状態から健康な状態に復する、という定義で考えているとすると、ASDに…
奇跡的な治療ってあるんですか?と聞かれたことがある。でも奇跡は日常診療では中々得られることがない。救急医療を思い浮かべる方も多いと思うが、それでも奇跡はなかなか起きない。私は救急医療センターで集中治療室の医師として勤めた経験がわずか半年な…
レビー小体型認知症はこの数年急に市民権を獲得してきた。 dneuroが医学部の頃、すなわち1990年代後半はこういった認知症が提唱されつつある、というまだ良くわかっていない認知症として習った覚えがあるが、現在では頻度の高い認知症として認知されている。…
久坂部羊の「無痛」を原作にフジがドラマにしているが、重要人物の1人(イバラ君)が先天性無痛症だという。 無痛 (幻冬舎文庫)作者: 久坂部羊出版社/メーカー: 幻冬舎発売日: 2008/09メディア: 文庫 クリック: 11回この商品を含むブログ (51件) を見るドラマ…
AI、人工知能に関してのニュースが最近目立つ。 dneuro的にはこの数年将棋のプロ棋士がソフトに負け続けており、ほぼ人間が敵う状態には無い(羽生さんが負けて決着となるだろうけど)ことや、ついには碁までAlpha碁というソフトに完璧に打ち負かされたことが…
睡眠薬はやめられないんでしょう?とはよく聞かれる疑問だが、率直に言えば「止めるのが簡単な人もいれば、難しい人もいる。人さまざま」というつまらない答えが正しい。 睡眠薬をやめられないとすれば、それは退薬症状(離脱症状とも)や反跳性不眠という現象…
認知症の方の外来をしていると、トイレを失敗してしまうのはなぜ?という疑問を聞かれることがある。 認知症のタイプにもよるのだろうけど、ここではアルツハイマー型認知症で考えてみたい。 アルツハイマー型認知症というと、「おじいちゃんボケてきたかし…
精神科医療界には多剤併用大量療法という問題があった(今でも無いとはいえない)。 日本精神医療の黒歴史の1つ。 多剤併用大量療法だった日本 特に統合失調症治療において、幻覚・妄想を和らげる抗精神病薬を複数、その副作用対策としての抗パーキンソン病薬…
週刊現代は的外れな医療批判を繰り返している。 今回も読んでみたが、なんというか、コピーの如く同じ批判を号を変えても繰り返すのは能が無い。いや他の出版社もまた的外れな現代医療批判を繰り返しているから、やはり医療批判が売れるコンテンツなだけだろ…
2016年7月26日早朝、主に行動障害を伴う知的障害者が入居する福祉施設で痛ましい事件があったのは周知の通り。夜中に侵入した犯人は19人を殺害、26人に重軽傷を負わせた上で自首し逮捕、すでに送検されている。 戦後最大の殺人事件だが、それ以上に容疑者の…
午後は眠い。 だから、最近は午後短時間、すなわち10〜20分くらいの睡眠を取るといいなんて言われるが、本当だろうか。アメリカではいくつかの記事で20分程度の昼寝をpower napと呼んで推奨している記事が多い。有力紙の1つWall Street Journalではこんな記…
どうも週刊現代は医療批判に目覚めたようで、このところ特集が続いている。 今回は第一部として、「内視鏡・腹腔鏡手術の真実」、「医者が切りたがるがんも本当は手術しないほうがいい」。 センセーショナルな見出しと内容を見たければかなりな程度ネットで…
(補足)ここを読んでくださる方はコチラもセットでどうぞ ⇛目の前の誘惑に耐えるのは難しい ADHD(やASDもだが)の子と接していると、褒めても通じないということがよくある。叱るんじゃなく褒めて行動を増やそうと実践するのに、褒めた行動が次につながらない…
精神科治療において治療の中心に位置する薬物療法。精神科医から薬物治療を取ったら相当程度の精神科医がその専門性を失ってしまうだろう。 少なくても一部の疾患には薬物療法が必須であり(⇛薬について)、これからもその意義を失うことはないと考える。 そん…
各種ダイエット法に夢を抱く人は多いが、残念ながら奇跡は存在しない。 いわゆる〇〇ダイエットの類はどれも極端であり、医学的蓋然性がないことが多い。身も蓋もないが、そもそも太るかどうかは遺伝的に規定されている。とはいえ、色んなダイエット法や健康…
風邪薬が風邪を治していないというと驚く人が多い。あれだけ内科に行くと風邪薬をもらっていたというのに!ということで。 解説すると、風邪の多くはウイルス性だが、風邪ウイルスに対する直接的な薬は存在しない。よく貰う薬は日本では鎮痛剤や抗ヒスタミン…
精神疾患の治療…というとどうも人はカウンセリングという言葉が思い浮かぶようだが、一転実際に外来にかかると薬ばっかりという感想を抱く方も多いと感じる。 しかし実際のところ、精神疾患の治療は、生物学的治療(ほぼイコール薬物療法)+精神療法(対話によ…
ワクチンに含まれる水銀が自閉症の原因だ、というのは結構広がってしまった虚報で、そもそもそれを提唱したイギリス人医師の論文が撤回された上に、本人が免許剥奪までされたというのに、未だに信じている人が多い。 心理的には、特に我が子が自閉症であるこ…
以前、診察室にオーボエ奏者の女性が来た。聞けば来週オケの入団試験であり、音が震えてしまうわけにはいかないという。もともと緊張すると震えやすく、そのせいで演奏に失敗した経験もある。考えると不安でたまらないが、今回の試験で失敗は許されない、と…
人前で、大事な試合・演奏の前で、あがってしまうと震えてしまってどうしようもない、という人がいる。この震え(医学用語では振戦)にはどう対処すべきか? 多くの人は何事かする前に緊張する。人前で何かを発表する、スポーツで対戦相手と戦う、好きな人に告…
母校の高校にて、1年生に対し、「職業人の話を聞く」という企画に誘われたので今度講演することになった。医学部受験を考える高校生もいるということで、疑問に思われるであろうこの話題。要は同じ医学部でも大学によって違いがあるの??ということだが… 結…
ASDが増えているという声が聞こえる。 実際外来をやっていると以前に比べて遥かに多くの方がASDであると感じられるし、検査の希望も多い。 実際に増えているのか、ということを議論する前にデータを見ると、例えばアメリカでは2000年には150人に1人であった…