2016-01-01から1年間の記事一覧

擬似医学入門

生活していると耳から入ってくる医学的な内容というのがある。そういった内容は何となく得心するところがあって、無意識に真実とインプットされやすい。 そんな内容に例えば以下。 1) ゲームをやり過ぎると脳の働きが鈍る。 2) 人間の脳は普段は10%程度しか…

自閉症〜名前の変遷〜

ASD

いわゆる「自閉症」は診断基準の変遷に伴い診断名がころころ変わっている。例えば「アスペルガー症候群」は 随分と一般にも広がって知名度が増したが、市民権を得た今になって、精神医学界では古い病名となり公的には使われなくなってきた。 それはひとえに…

実際に見たり聞いたりという体験が他人と共有できるかわからないという話

認知行動療法を受けたいという方、あなたは自分が見ている世界が真実1つだけでないことに向き合わなければいけません。 とりあえず有名になったこの画像を見てみよう。 「この色は何色にみえる?」というのがtwitterでの議論から随分と有名になった。見え方…

前頭側頭型認知症を考える(1)

いざ認知症か、というときに本人にとっても家族にとってもかなりな大変さを覚悟しなければいけない認知症の1つが前頭側頭型認知症*1(Fronto-Temporal Dementia: FTD)だろう。 客観情報としての検査で正常と異常の別がすぐにわかるのか?というと… ここにいわ…

発達の子には優しいお兄さんやお姉さんを家庭教師に

保護的で大人に相談できる環境がASDやADHDの子には必要であるという。 1つその実現法として考えて欲しいのは、 優しいお兄さんやお姉さんの家庭教師だ*1。 ASDやADHDの子。 小さいころの目標はできるだけトラウマを作らないこと、自信を育むこと、人への信頼…

光でうつが診断できる? ちょっとそれはという問題 (2)

NIRSでうつを診断できるのか、という話。 ここで問題にしたいのはこれが本当なのか?ということだったりする。 NIRSの問題点は大きく2つ。 1.見ているのが本当に大脳皮質の血流なの? 2.結果が再現できない 1.見ているのが本当に大脳皮質の血流なの?図を見…

光でうつが診断できる? ちょっとそれはという問題 (1)

今日はいかにも先進的な技術を使った研究が紹介されたり、大学のお偉い先生が喋ると本当のような気がしてくるけども、実は疑うに十分なものがあるのだというお話。 時々「光を使った検査でうつ病の診断ができるんですか?」と聞かれる。 それは多分以下のよ…

セロトニントランスポーター遺伝子は日本人気質を決めているか?

性格は遺伝するんですか? よくそう問われるが、実際のところ答えはyes and noだ。 結局子供は親2人のハイブリッドなので、持っている遺伝子は他人よりずっと近い。親子そっくりは容姿だけでなく、性格や人格(ここでは余り区別しない)にも当てはまる。とはい…

ADHDのペアレントトレーニング

読んで学べるADHDのペアレントトレーニング――むずかしい子にやさしい子育作者: シンシアウィッタム,上林靖子,中田洋二郎,藤井和子,井澗知美,北道子出版社/メーカー: 明石書店発売日: 2002/03/22メディア: 単行本購入: 33人 クリック: 156回この商品を含むブ…

ADHDの辛さ

ADHDの特徴といえば、「注意欠陥、多動、衝動性」だがそれらをベースにし様々な問題行動を起こす。 どっちにしろ、あちこちに注意が飛ぶADHD児、特に多動症状が強いとこんなことになる。 幼少期より片時もじっとしているということができない やりかけのこと…

辛さは知ってほしいが負けるわけにもいかない(2)

「化学物質過敏を治療したい/治療して欲しい」 dneuro自身化学物質過敏のためやはり自分の化学物質過敏( 以下MCSとする: Multiple Chemical Sensitivity)を治したいと切に願っている。 でも、正直言ってMCSは治すものではない。多分一度発症したMCSはそうそ…

辛さは知ってほしいが負けるわけにもいかない(1)

化学物質過敏症(http://bit.ly/20zH61g)について何回かに分けて書きたいと思う。Chemical Sensitivity (CS)とか、多種化学物質過敏状態(Multiple Chemical Sensitivity :MCS)と略される。このblog書いているdneuro自身もMCS持ちなので(涙)、私の体験も交えつ…

2015年_購入した医学系一般書(3)

悲素作者: 帚木蓬生出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2015/07/22メディア: 単行本この商品を含むブログを見る 医学系、というと違うかもしれないが、九州で開業されている精神科医小説家の昨年の新刊は、和歌山の毒カレー事件を題材にした小説だった。 和歌山…

ASDを理解するために(2)

ASDは注意欠陥多動性障害(ADHD)を合併したり、逆にADHDに合併したり、ということが多いとされている。 同じ発達障害じゃないの?という疑問を呈される方もいようが、1994年発表のアメリカ精神医学会の診断基準、DSM-IVでは合併は無い、とされていた。それが…

2015年_購入した医学系一般書(2)

医者に殺されない47の心得 医療と薬を遠ざけて、元気に、長生きする方法作者: 近藤誠出版社/メーカー: アスコム発売日: 2012/12/13メディア: 新書購入: 2人 クリック: 20回この商品を含むブログ (30件) を見る 何かと話題になりやすい近藤誠医師の著作。慶応…

ASDを理解するために(1)

ASD

ASDはAutism Spectrum Disorderすなわち自閉スペクトラム症の略であり、比較的新しい言葉だ。診断名としてはアメリカ精神医学会の診断マニュアル第5版(DSM-V)から正式に使われている。第4版では広汎性発達障害というカテゴリーに、自閉症、高機能自閉症そし…