医療

片頭痛についての当ブログ的まとめ

今年もはや3月末になって、最初の投稿が残念ながらこんなに遅くなってしまいました。 1つには代表を勤めている会社のブログに注力していることもありますので...と言い訳ですけどね。 さて、会社(ライデック)のブログでこの4月から発売予定の片頭痛の注射予…

新型コロナ雑感(3)_スウェーデンってどうなの?

前回が8月...気付けばもう今年の最終日の23時になってしまいました... なかなか更新できなかったのは会社のほうのブログで色々書いていたりして...というのは言い訳で、もっと自由にこちらには書きたかったなあと思います。コロナ禍過中で「コロナうつ」が増えて…

tDCSの新しい研究を始めました_被検者さん募集中です

気づけば今年最初の記事になってしまいました。 なかなか進まずスミマセン... さて、tDCS,経頭蓋直流電気刺激の記事は何度か書いていますが、新しく研究を開始しましたのでお知らせします。 被検者さん、募集中でもありますので、ご興味あるかたは是非ご連絡くださ…

最近気になる精神科系ニュース_エーザイ復活劇とアデュカヌマブについて

toyokeizai.netついこの間のこと、エーザイの株価が急騰。 図にあるように5000円台から一時は8000円台まで高くなったという(持っていたかった...)。その理由はリンク先にあるようにエーザイが米製薬会社バイオジェンと組んで開発中の薬、アデュカヌマブをアメリ…

インチュニブが成人に適応拡大_インチュニブの作用について

つい先日ですが、抗ADHD薬の1つ、インチュニブ(一般名:グアンファシン)が成人に適応拡大されました! これはこれまでADHD症状に対して、使えた薬が成人ではコンサータ(一般名:塩酸メチルフェニデート)とストラテラ(一般名:アトモキセチン)の2剤のみだったことを…

がん免疫療法について (1) 〜祝ノーベル賞! オプジーボの効果

dneuroは精神科医兼神経科学者なので、がん、はほぼあらゆる面において専門外なのですが、気になる記事があったので、ちょっと書いてみたのが今日の話題、今をときめくノーベル医学生理学賞を受賞した本庶佑氏がメカニズムを発見し、応用された結果の薬、オプジーボ…

睡眠時間に関して、心配ばかりしてもしょうがない

さて、睡眠について。精神科医として、患者さんにしっかり寝て欲しい、というか寝ないと治るのも治らないとは毎日言ってはいるものの、実は個人にとって理想的な睡眠時間というのは無いのだろうと思っています。 もっとも長寿なのは8時間睡眠だった、とか、現代人は…

起業しました

なかなか更新できずにいましたが実は会社を作り、開設の準備をしています。 ようやくホームページも公開できたので、ここでも報告を。tridc.co.jpあれ、No imageになってしまうのはなぜだろう...ともあれ、会社を作りました。株式会社ライデックと言います。ライデッ…

オキシトシンを自閉スペクトラムの「治療薬」ということの難しさ

福井新聞が報じたオキシトシンのASDへの「治療」効果が話題のようです。 www.fukuishimbun.co.jp 曰く、'大規模な臨床試験を行い、国際的な基準で治療効果や安全性を検証したのは世界初' 'オキシトシンを投与したグループで常同行動の軽減が確認できたのに対し、…

精神神経学会参加(2)_アルコール依存症の治療

こちらは一般口演で、埼玉県立精神医療センターの成瀬先生の連続2題の口演を聞いた。 タイトルは、「アルコール依存症治療革命」の提案、と、アルコール依存症「中核群」は本来の中核群ではない〜アルコール依存症中核群に対する新たな治療の提案〜。 精神科…

抗ADHD薬の値段を他の精神科治療薬と比べてみる

ADHDの方に処方する代表的2薬、継続するにはかなり経済的に負担がかかる。 改めてその印象が実際のところどうなのか、薬価サーチにて計算してみた。 結果は下図のとおりだが、やはり3割負担で相当に高い。特に日本イーライリリー社のストラテラ(一般名:アト…

発達障害、昔は少なかったの?

発達障害の講演を時に依頼されることがあり、その折に質問に多いのが、「昔は発達障害なんて問題になっていなかったのになんで今はこんなに増えたの?」とか、「発達障害は増えたの?」という類。 以前も書いたように診断数に関しては激増している(⇛ASDは増…

片頭痛に新しい薬が近づいている

片頭痛を抱える患者(dneuro含む)には朗報といって良いか。間もなく新薬が出る。 内容に間違いも多いけど、こんな記事も出た。 tocana.jp 抗CGRP受容体抗体エレヌマブは片頭痛に有望 大塚製薬、片頭痛予防薬「フレマネズマブ(TEV-48125)」の日本国内での開…

脳は大人になっても変わるから学習できるし傷ついても回復する…_tDCS入門(2)

更新の間隔がこれまでで最長になってしまった…色々と考えることがあったので少数の待ってくださっている方にはすみません。 www.neuroelectrics.com 研究室ではスペイン(珍しい!)のベンチャー企業Neuroelectrics社が開発したSTARSTIM tCSという刺激装置を手…

経頭蓋直流電気刺激法(tDCS)入門 (1)

2011年、イギリスの総合科学誌Natureで紹介されたのは、経頭蓋直流電気刺激(transcranial direct current stimulation: tDCS)という脳を直流電流で刺激する怪しげな機械とその方法だ。 www.natureasia.com 以下、論説の内容を1つ引用(太字、下線はdneuro)。 …

目の前の誘惑に耐えるのは難しい

結構有名な心理実験にマシュマロ・テストというのがある。 実験では子どもの目の前にマシュマロを1個置いて、こう告げる。 「20分後に私が戻ってくるまでにこのマシュマロを食べずにいたらもう1個あげる。でもそれまでに食べちゃっていたらあげないよ」 日本…

ヒトはなぜワクチンを疑うのか (2) 

インフルエンザの流行を都が認めたらしい。自分もそろそろ打ちたいが今年は不足しているインフルワクチン。今回は以前書いた続編を。 ヒトはなぜワクチンを疑うのか(1) 初めにdneuroの立場を表明するとすれば、ワクチンは一定の感染症を予防し、不幸な感染者…

認知症の治療 捉え方を変えてみよう

先ごろ「認知症の治療」というお題で講演依頼を受けた。・いわゆる4大認知症(アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症、そして血管性認知症) ・現在市場に出ているアリセプト(塩酸ドネペジル)を主体とした認知症治療薬 ・治る認知症を…

将来必要なのはきっと整形外科医だけ

以前、AIの発展に伴って精神科医は20年後には生き残れないと書いたが、最近はますますそうじゃないかな~と思う。 www.huffingtonpost.jp いや、人間に打ち勝ったアルファ碁をさらに100戦全敗に追い込んだアルファ碁ゼロなどの記事を見るとその感は強くなる…

今年のノーベル賞と概日リズム

海外に旅行すると時差ボケが強くて困る人と大して問題ない人がいると思う。 dneuroはもともと時差ボケが強いとは思っていなかったが、大学院生時代に参加したアメリカ西海岸のサンディエゴでの学会。5日間のうち2日は時差ボケのせいか眠気がものすごく、ほと…

プラセボは効いてしまう

薬効の証明は二重盲検試験を経なければならない 現代の薬の効果判定の最終プロセスは無作為二重盲検試験というやつで、このサイトがわかりやすい。 臨床試験・治験に特有の仕組み アーカイブ - 臨床試験・治験の語り ある新薬Aの効果を知りたい時に、Aと味も…

きっとあなたも信じている医学神話

医療とその技術はすべてエビデンスに支えられているべき エビデンスとは読んで字のごとく証拠ないしは根拠であり、医療技術はその1つ1つに根拠があるべきだといいたい。何を当たり前な、と感じる人は現代に生きる若者だからであり、エビデンスに基づいた医療…

無届けさい帯血医療のニュースで偽物医療に思うこと

www.nikkei.com 先日、他人のさい帯血を国に無届けで投与したとして東京渋谷のクリニックの医師を含めて6人が逮捕されたようだ。 さい帯血(⇛Wiki)はへその緒に含まれる胎児血液のこと。これを使った代表的な治療対象は、白血病であり、骨髄移植に並んで、移…

嗜銀顆粒性認知症で説明つくのかな

認知症の種類を問うと4大認知症と答える方が多い。アルツハイマー病(型認知症)、脳血管性認知症、レビー小体型認知症、そして前頭側頭型認知症。 しかし、臨床をやっているとどうにも当てはまらない人が出て来る。dneuroは外来のみだがそれでもこの10年、ほ…

認知症にならないってできるのか、とかキツネのはなしとか

アルツハイマー病(アルツハイマー型認知症)の臨床をやっていると、何が進行速度の決め手になるのか?という疑問を持つ。画像上は萎縮像が確かに診断の参考にはなるし、ある程度は萎縮の程度が認知症の状態と相関関係にあるのはわかる。 ただ、萎縮が目立つと…

オキシトシンと自閉症〜オキシトシンはどうなっている(2)

前回はNature誌の論説を紹介したが、現浜松医科大学精神医学教授の山末氏らのグループはオキシトシンの臨床試験を日本で行っており、一定の効果を得たという発表が2015年にあった。www.amed.go.jp その山末氏がやはり同年にPsychiatry and Clinical Neurosci…

ビッグデータ活用するには情報が正しい必要があるよね...

以前20年後には精神科医がいなくなり始めるといった内容を書いてまあまあ読んでくださっている方もいるようで有り難いのだが、幾つかビッグデータとかAI系のサイトや解説本を読んで考えることを。 cs.sonylife.co.jp AI活用例として、遺伝子解析、総合診療支…

遺伝子情報、知りすぎてどうする

日経サイエンス2017年6月号出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社発売日: 2017/04/25メディア: 雑誌この商品を含むブログ (1件) を見る 今月の日経サイエンス「新生児ゲノム検査の期待と不安」から。 2010年テキサス州、キャメロンと名付けられた赤ちゃんは新…

授乳中は全ての薬を止めるべき?

妊娠と授乳中における精神科の薬については、当たり前だけれども皆さん不安が強いようで、しょっちゅう聞かれてしまう。今日はそのうち、授乳と薬についての話題を中心に。 お母さんの精神状態ファーストだ 授乳と薬について考える時の原則を書けばこんなと…

開発中のアルツハイマー病治療薬はどうなった?

つい先日ヤフーでこんな記事があったので、気になったことなどを。news.yahoo.co.jp 記事内容は概ね頷ける。確かにアルツハイマー病(アルツハイマー型認知症)の治療薬は失敗続き。特にアルツハイマー病の原因は、加齢とともに、アミロイドβ42というタンパク…