ASD

気になる発達障害の話題(2)_発達障害グレーゾーン

発達障害グレーゾーン (扶桑社新書)作者: 姫野桂,OMgray事務局出版社/メーカー: 扶桑社発売日: 2018/12/27メディア: 新書この商品を含むブログを見るこの前のエントリでも書きましたが、この本、かなり話題のようですね。 読み始めは、グレーゾーンという言葉に…

気になる発達障害の話題(1)_感覚過敏

今年1回目が遅くなってしまいました。このblogをご覧になっている方には申し訳ないです。風邪を引いていましたが、インフルではありません。 ちなみに風邪を引いて大切なのはやはり休息でしょう。風邪薬は残念ながら本質的ではないので...とはいえ症状緩和にしょ…

起業しました

なかなか更新できずにいましたが実は会社を作り、開設の準備をしています。 ようやくホームページも公開できたので、ここでも報告を。tridc.co.jpあれ、No imageになってしまうのはなぜだろう...ともあれ、会社を作りました。株式会社ライデックと言います。ライデッ…

オキシトシンを自閉スペクトラムの「治療薬」ということの難しさ

福井新聞が報じたオキシトシンのASDへの「治療」効果が話題のようです。 www.fukuishimbun.co.jp 曰く、'大規模な臨床試験を行い、国際的な基準で治療効果や安全性を検証したのは世界初' 'オキシトシンを投与したグループで常同行動の軽減が確認できたのに対し、…

突然「障害」と言われて納得できるわけがない

「発達障害」という言葉が嫌い 嫌いだと言っても行政に出す書類を出すために使うこともあるし、実際~の専門という時に一々いやそう言うのは嫌いなので…と伝えるのも面倒なので使うことはあるんですが、「障害」という言葉はどうにも使いづらいのです。 とい…

DSM-5 神経発達症群の診断名

発達障害というと一般的には図のように自閉症スペクトラム(ASD)、注意欠如多動症(AD/HD)、それに学習障害という形で紹介されることが多い一方で、医療系が診断書に書くときに参考にする診断基準はちと違う。 WHOの診断基準はICD-10といい、公的な診断書に使…

発達障害、昔は少なかったの?

発達障害の講演を時に依頼されることがあり、その折に質問に多いのが、「昔は発達障害なんて問題になっていなかったのになんで今はこんなに増えたの?」とか、「発達障害は増えたの?」という類。 以前も書いたように診断数に関しては激増している(⇛ASDは増…

オキシトシンと自閉症〜オキシトシンはどうなっている(2)

前回はNature誌の論説を紹介したが、現浜松医科大学精神医学教授の山末氏らのグループはオキシトシンの臨床試験を日本で行っており、一定の効果を得たという発表が2015年にあった。www.amed.go.jp その山末氏がやはり同年にPsychiatry and Clinical Neurosci…

オキシトシンはどうなっている?(1)_自閉症とオキシトシン治療について

愛情ホルモン、オキシトシンがASD治療に有効だと言われて久しい。 臨床治験も現在進行中だし、ASD治療薬(と書くのは抵抗があるのだが、それは後述)としてのオキシトシンの現在地を確かめたい。 オキシトシンについて オキシトシン(⇛Wiki)は脳下垂体(図参照)…

ワクチンと自閉症、あれこれ

「ワクチンと自閉症」でググると当blogの「自閉症の原因はワクチンや水銀じゃないよ」が結構上の方で出してくれるおかげでアクセス数が多い。有り難い一方で、トランプ米大統領の発言のせいか、ワクチン=自閉症原因説が話題になることが多くなっている様子。…

発達障害特性独自の強みについて

発達障害についてはやはり「障害」と括られることで否定的なことが書かれることが多い。発達障害の持つ特性が障害になる一方かというと、そんなわけでも無いというのが今日の論点。実際の所、あぁこの人ASDだなあという偉大な人はそれなりにいるし、ADHDを公…

発達障害臨床雑感

この1年、自分のいるクリニックでは発達障害の診断や現在抱えている不適応や気分障害・不眠など精神科的症状に悩む人の受診が増えた。国際的な診断ツールである、ADOS-2(本人対象)やADI-R(養育者対象)を用いての出来るだけ客観的な自閉症鑑別の手段を使って…

ASDは治療するものなのか

ASDに関する報道をみていると、例えば「オキシトシン」で自閉症の治療につながるという報道がある。以下は東大のプレスリリースではあるが*1。 www.jst.go.jp 「治療」というのを、病的な状態から健康な状態に復する、という定義で考えているとすると、ASDに…

学習できないのは報酬系の不全が問題

(補足)ここを読んでくださる方はコチラもセットでどうぞ ⇛目の前の誘惑に耐えるのは難しい ADHD(やASDもだが)の子と接していると、褒めても通じないということがよくある。叱るんじゃなく褒めて行動を増やそうと実践するのに、褒めた行動が次につながらない…

自閉症の原因はワクチンや水銀じゃないよ

ワクチンに含まれる水銀が自閉症の原因だ、というのは結構広がってしまった虚報で、そもそもそれを提唱したイギリス人医師の論文が撤回された上に、本人が免許剥奪までされたというのに、未だに信じている人が多い。 心理的には、特に我が子が自閉症であるこ…

ASDは増えているの?

ASD

ASDが増えているという声が聞こえる。 実際外来をやっていると以前に比べて遥かに多くの方がASDであると感じられるし、検査の希望も多い。 実際に増えているのか、ということを議論する前にデータを見ると、例えばアメリカでは2000年には150人に1人であった…

自閉症〜名前の変遷〜

ASD

いわゆる「自閉症」は診断基準の変遷に伴い診断名がころころ変わっている。例えば「アスペルガー症候群」は 随分と一般にも広がって知名度が増したが、市民権を得た今になって、精神医学界では古い病名となり公的には使われなくなってきた。 それはひとえに…

発達の子には優しいお兄さんやお姉さんを家庭教師に

保護的で大人に相談できる環境がASDやADHDの子には必要であるという。 1つその実現法として考えて欲しいのは、 優しいお兄さんやお姉さんの家庭教師だ*1。 ASDやADHDの子。 小さいころの目標はできるだけトラウマを作らないこと、自信を育むこと、人への信頼…

ASDを理解するために(2)

ASDは注意欠陥多動性障害(ADHD)を合併したり、逆にADHDに合併したり、ということが多いとされている。 同じ発達障害じゃないの?という疑問を呈される方もいようが、1994年発表のアメリカ精神医学会の診断基準、DSM-IVでは合併は無い、とされていた。それが…

ASDを理解するために(1)

ASD

ASDはAutism Spectrum Disorderすなわち自閉スペクトラム症の略であり、比較的新しい言葉だ。診断名としてはアメリカ精神医学会の診断マニュアル第5版(DSM-V)から正式に使われている。第4版では広汎性発達障害というカテゴリーに、自閉症、高機能自閉症そし…