tDCSの新しい研究を始めました_被検者さん募集中です

気づけば今年最初の記事になってしまいました。
なかなか進まずスミマセン...


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さて、tDCS,経頭蓋直流電気刺激の記事は何度か書いていますが、新しく研究を開始しましたのでお知らせします。
被検者さん、募集中でもありますので、ご興味あるかたは是非ご連絡ください。


内容について説明しますね。


tDCSは頭皮上から弱い電流をかけて、脳機能に影響を与える刺激です

neurophys11.hatenablog.com


詳しくは以前書いたエントリから把握して欲しいのですが、幾つかある脳刺激法の1つ。
tDCSはその名の通り、頭皮上から弱い(0.5〜2mA程度)直流電気刺激を与えて、その刺激が頭皮直下の大脳皮質神経細胞に影響し、学習や行動の変化をもたらすことを目的に使います。


もちろん、将来的には治療に繋げたいので、その変化は今ある機能を改善させる方向を目指します。
大きくは次の3領域で考えるといいでしょう。


・認知機能を向上させる。
記憶、注意、処理速度、判断力など


・運動機能を向上させる。
麻痺の改善(リハビリ)、筋力増加、より良い運動技能の習得など


・病気の症状を緩和する。
うつ病の諸症状、頭痛、慢性疼痛、めまいなど



何せ装置自体はとても小型で扱いやすく、刺激による危険性は非常に低い(事実上ありませんが、局所に強い電流が流れてしまうと頭皮の火傷に繋がります)こともあり、被検者さんにも検査者にも優しいデバイスではあります。


主に上記3領域を対象に近年は研究成果の報告が相次いでいるのですが、近年特にアメリカでは民生用機械が発売もされており、スポーツ選手が使ったりしているようです。もっとも研究者的にはその効果はそこまで言っていいのか?と疑問に思うところはあります。


japan.cnet.com



今回の研究目的は?

ワーキングメモリを対象にした研究です。
ワーキングメモリとは、何か作業なり課題を為すときに一時的に必要とする記憶能力のことを指します。


例えば、電話番号、言われたとき直後に電話をかけるのであればなんとか覚えておくことが可能でしょう。


そんなふうに、何か用事をする際にちょっとの間だけ頭に留めておいて、必要な時間だけ使ってその後は忘れてしまう、そんな記憶です。


一昨年、私は学生さんと組んで、このワーキングメモリが、左の背外側前頭前野という大脳皮質をtDCSで刺激して向上することを報告しました。ただし、どちらかというと高い能力を既に持っている学生さんが被検者でした。


sway.office.com



今回は、改めて、人数を拡大して行います。そして、どちらかといえばワーキングメモリが弱い方で能力向上がより大きいのでは?と考えています。


将来的にはこれがワーキングメモリに弱さを抱えがちな、ADHDの方や、学習障害を持つ方、うつ状態の方などに応用可能であればと期待しています。


千葉大学医学部で行いますので、ご興味を持った方は是非下記画像を参考に私までご連絡ください。
本当に若干ではありますが、謝礼を差し上げます。


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