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光でうつが診断できる? ちょっとそれはという問題 (1)

今日はいかにも先進的な技術を使った研究が紹介されたり、大学のお偉い先生が喋ると本当のような気がしてくるけども、実は疑うに十分なものがあるのだというお話。


時々「光を使った検査でうつ病の診断ができるんですか?」と聞かれる。
それは多分以下のようなHPやもしかしたらTVなどを見て興味を抱いたのだろうと思う。
例えば次のようなサイト。


光トポグラフィー検査 うつ病を「見える化」する先進医療技術です
http://utu-yobo.com/topography.html


しかも、躁うつ病統合失調症との鑑別も可能だという。


問い合わせが殺到!うつ病見える化」診断 光トポグラフィー検査
http://diamond.jp/articles/-/14130


この光、近赤外光である。赤外線の中で可視光線に近い波長のものだ。
近赤外⇛http://bit.ly/1jHGXs5


これを利用するとなんとうつ病が診断されるというのでNHKでも紹介された。
 NHKスペシャル ここまで来た! うつ病治療
http://www.amazon.co.jp/NHKスペシャル-ここまで来た-うつ病治療-NHK取材班/dp/4796688803


で、ここで話題になっている検査というのが、近赤外スペクトロスコピー(Near Infrared Spectroscopy; 以下NIRS)。NIRS(ニルス)と読む。
日本語では、近赤外分光法、もしくは光トポグラフィとも。
    NIRS(Wiki)(https://ja.wikipedia.org/wiki/NIRS脳計測装置


計測機械の国内大手は島津製作所と日立。安価な機械を売るベンチャーは沢山。
メカニズムを知りたければ島津さんのHP
http://www.an.shimadzu.co.jp/bio/nirs/nirs2.htm


 NIRSは頭皮から近赤外光を当て、それが脳に達し、帰ってきた光を再び拾う。脳には血管が通っており、その中の血流を光が通り過ぎると頭皮から入った波長が変わる。変わる理由は血液中のヘモグロビン(Hb)だ。Hbは赤血球の中に存在し、組織に酸素を運ぶ。酸素を運んでいるHbをOxy-Hb(オキシ〜),酸素を組織に渡したヘモグロビンをDeoxy-Hb(デオキシ〜)という。2つのHbを通った近赤外光は波長を変えて帰ってくるため、その2つを分離して検出可能である。
この検査では、言語流暢性課題というのをやっている間の大脳皮質血流を観察する。


f:id:neurophys11:20160308160937j:plain


この言語流暢性課題というのがなかなか凄くて、多くの人でこれをやっている間にNIRSの酸素化ヘモグロビンの値が上がってくるのを観察することができる。


 課題は全然違うが、新生児にあるイメージを見せながら側頭葉の血流が
変化している様子はこちらを⇓

http://www.ucl.ac.uk/medphys/research/borl/nirs/nirs/current_projects/funct_infant/fa_studies


で、うつ病では前頭葉機能が落ちるのでこの言語流暢性課題を課しながらNIRSの測定を見れば、見事に診断可能だという…さらに疾患によって(統合失調症躁うつ病うつ病)によってもNIRSのシグナルの出方が違うから鑑別までできると。


産経の記事では思いもしなかった躁うつ病が診断されたようだ。
思いもしなかった結果が…大脳血流で鬱診断「光トポグラフィー検査」
http://www.sankei.com/life/news/150126/lif1501260001-n1.html


本題はこれから。
 ここで問題にしたいのはこれが本当なのか?ということだったりするのだが、長くなったので次に。
 ちなみにうつ病で前頭葉機能が落ちるのは本当です。だから、うつ病になると記憶力が落ちた、頭が悪くなったような気がする。