精神疾患って原因あるの?

精神疾患というのは、多くの人にとってよくわからないもの。

と同時に、医者にとっても実はよくわからない。

わからない、というのは、多くの精神疾患の原因がこれだけ医学・医療の進んだ世の中において判明していないから。

そう、実はほんとに原因がわからない疾患だらけ。

統合失調症双極性障害(躁うつ病)うつ病、パニック症、強迫症...

 

ちょっと待て、うつ病はストレスではないか。

そう考える人いるだろうが、凄惨な経験を持ちながらも元気いっぱい、タフな人がいる一方で、わずかなストレスがうつ症状の発展に関与してしまう人もいる。ストレスどころか、客観的にはその人に何のストレスがあったのか全くわからない中で「うつ病」を発症する人も。

 

発症を分ける「何か」は実際のところわかっていない。どうしても要因を挙げろ、と言われれば、ある種のストレスに対して弱く(脆弱で)、精神と身体の恒常性のバランスを欠きやすい素因がその人にあるかどうか。だから、その素因があれば、特定のストレスが引き金として働いて、うつ病を発症するし、素因なきところに発症は無いといえる。

 

つまり、ストレスそのものは、うつ病発症の誘因になり得ても、原因とはいえない。 原因がなければ、誘因があっても発症しない。この人は暗い性格でいつも悲観的という、はたから見ればいかにもという人が発症しない一方で、うつ病とは遠くはなれたところにいそうな、いつも明るく元気な人が発症することはありうるのだ。

 

原因がわかっていて、精神疾患に分類されているものは基本的には次の2つ。

 

脳炎などの感染症をベースにした精神病

心的外傷後ストレス障害

 

は例えば、単純ヘルペスウイルス脳炎。

単純ヘルペスウイルスが大脳辺縁系という感情や記憶に大きく関与する脳領域を侵すことにより、幻覚、記憶障害、錯乱などの多彩な精神症状を呈する。

これは明らかにヘルペスウイルス感染が原因なわけで、ウイルスそのものを叩かないと治療にならない。

 

はいわゆるPTSD

死を強烈に意識させられたり、レイプのような抵抗しがたい犯罪に巻き込まれた場合に、直後から、もしくはかなり月日が経ってからもフラッシュバックをはじめとした症状が起きてくる。

 

とはいえ、これ実は、そういったストレスを受けた後に症状が出てくるという病気の定義があるから、そのストレスが原因と言えるだけ。そもそもは、アメリカでベトナム戦争を経験した帰還兵に精神的に病んだ方々が多数出てきて、彼らを救うために出てきた病気の概念という歴史を忘れてはいけない。

 

ほんとはそのストレスに耐えられるか、その強さ、すなわちストレス耐性こそが発症するかどうかを分ける。そしてそのストレス耐性の強さの原因はやはりわかっているとは言えないのだ。