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ADHDのペアレントトレーニング

読んで学べるADHDのペアレントトレーニング――むずかしい子にやさしい子育

読んで学べるADHDのペアレントトレーニング――むずかしい子にやさしい子育

ADHDの特性をどんなに説明されても、だからどうすりゃいい?と思うし、やはり一番接するのは親だ。ADHDの困った問題に対処する具体的対策が欲しくなる。


実際、時間を守らない、やるべきことにとりからない、自分の希望ばかり通そうとするといった場面で親はどうするか。普通は怒るし、時に怒鳴りもする。正直定型発達児はそれが有効だと思う(望ましいかはともかく)。しかしADHD児には残念ながら叱責が入っていかない*1。何度怒鳴っても、「怒られるの嫌だからちゃんとやるか」にならず、(年齢不相応に)同じ失敗を繰り返す。


もちろん、一定程度年齢行けばそういう感情は芽生え、学習もする。
でも普通の子ができるようになる小1〜2ではまだ難しい。


本書が提唱するのは幾つかの行動療法的手法である。特に「不適切な行動に対する効果的な無視と褒め方」が行動改変をもたらす手法に特徴があり、それは親としては教えられて意識しないとなかなかできない。


「無視」は親にとってしてほしくない行動を減らすために用いる道具(本書ではテクニックのことを道具という)である。とはいえ、この「無視」は我が子を無視して放っとけというのではなく、我が子の「行動」を無視するのである。子どもは自らの行動によって親の注目を惹きつけ、自分の要望を通そうとするが、その不適切な注目を取り去るのが目的である。一方、その後は褒めてあげないと身につけて欲しい行動が学習されないので、褒めるわけだが、それにもテクニックがいる。良い行いの最中もしくは直後に(犬と一緒)、してくれて嬉しいというトーンを声ににじませ、人格ではなく「行動」を褒める。「あら、良い子ね〜」じゃあだめで「食器を片付けてくれて有難う」みたいに。クラスに貼りだされた絵を見て「あなたが一番ね」なども不適切なことが多い。一番でないと良くない・褒められないというメッセージを伝えてしまう。「この部分の色使いがいいわあ」などが良い。


そもそもこの「注目を集める」というのが子供にとって物凄く大きい。


「好き」と言えない女の子に小学生の男はからかったり、いじめまでする。
肯定的でなくても注目が自分に向い、反応してくれるからだ。


なので、褒めるという肯定的注目すら得られなければ、子供は叱られてでも注目を得たがる。単なる罰や叱責が役に立たないのはそういうことだ。


ということでペアレント・トレーニング。昨今はそれをしている施設も多いから習うこともできるが、本書を家に持つことで独学も可能だろう。様々な場面の具体例とその時どうするか、が書いてある。
出版が2002年だが特に古いとは感じない。もっとも具体例の会話が訳書だけに日本的ではないと感じることは多い。


ちなみに、ここに書かれたADHD児への技法は、あらゆる子に対して望ましいように感じられるし、きっとより効果を出しやすいのだろう。大きな声じゃ言えないが、これでそんな簡単に行動変わったらADHDじゃないでしょ?と感じるのは確かだ…。


どのテクニックもそうだが、1つ1つためしてみるといい。我が子に当てはまらなければ拘らず、早々に撤退する必要もあるだろう。
アレント・トレーニングなので、学校で先生をはじめとした支援者の立場としてどうするか、といった点は本書の範疇じゃないことに注意。


オススメ度は★★★★☆

*1:叱責が入っていかないのはやはり脳の発達がその段階に至っていないからだろう。例えば、どんな子でも小学生になってオムツをしている子はいないわけだが、3歳でさくっと外れる子もいれば5歳まで引っ張る子もいる。5歳でようやく外れる子の3歳時にいくら叱責して外させようとしても上手くいかんでしょう。学習にはそれが入っていく時期(発達段階)があるということだ。  また学習内容によってはそもそもそれが出来ることになるのを考えるのが無茶ということもある。ネコを犬の群れに混ぜて、同じ行動させようと思っても多分一生かけても無理だよね、なんて例えは正しいか…。