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2015_購入した医学系一般書籍(1)

脳を鍛えるには運動しかない!―最新科学でわかった脳細胞の増やし方

脳を鍛えるには運動しかない!―最新科学でわかった脳細胞の増やし方

運動することで精神症状を改善する、しうるというのはこの本で認識が広がったと思う。もちろん、それは仮説に過ぎず、肯定的な評価を下す研究ばかりではないとはいえ、実感として一定の真実があると思う。とにかく手はやたらと動く院生O君からこの本を勧められた時には、そのキャッチーなタイトルに、まともな本とは思えなかったのだが、読んでみたらまともな本だった(疑ったO君、ごめんなさい)。実際、イギリスの様々な疾患に対するNICEガイドラインでも、軽〜中等度のうつ病に関しては治療の第1選択として運動が推奨されている。ただし一方で、否定する研究結果がやはりあることに注意。
  
kenko100.jp


捏造の科学者 STAP細胞事件

捏造の科学者 STAP細胞事件

間もなく2年経つかと感慨深いSTAP細胞事件(というか騒動)。この騒動は1人のおかしな女性科学者とそれに踊らされた男性科学者たち(主要人物は3人)によって引き起こされたわけだが、何せその不正っぷりがすごかったおかげで大学院生の指導教官としてはやたらと仕事が増えた点、恨めしい。iPS細胞のように、期待が大きい医療に関しておかしなことがあると、様々な人を巻き込んだ大騒動が起きることがよくわかった。

一般に衝撃を与えた最初の発表会見は2014年1月29日。当時私も凄い研究出た!と思って、原著論文を読んだのだが、当時の院生とのやりとりをみると、2/21時点最初の疑念を院生に知らせ、2/25の時点ではまだ全体が捏造とは考えていなかったこともわかる。そして3/9には捏造の可能性が高いと考え院生に残念とのメールを書いていた。とりあえず海外研究者の掲示板で実験が再現できない、という声が大きいのが印象的だった。
日経サイエンス2015年3月号「STAP細胞の全貌」特集と併せて読むと満足度は高い。


法医学者が見た再審無罪の真相(祥伝社新書)

法医学者が見た再審無罪の真相(祥伝社新書)

DNA鑑定が一般的になった現在、容疑者の遺留品や体液とされているものとDNA鑑定が一致さえすれば有罪確定という気がする。とはいえ、実際にはどのようにその証拠が取られたのか、そもそも鑑定法がそれでいいのか、という部分に疑念の余地が入りうる。足利事件はその典型だった。DNA型といっても、その一致率が1兆人に1人であれば本人確定しても良かろうが、1000人に4-5人、みたいな可能性しか出せない鑑定であれば偶然一致してしまう可能性は十分にあるわけだ。結局データを活かすのは人次第であり、本書を読んで怖さを感じるのは、医学的証拠能力を恣意的に使い得る警察・検事機構。

著者は元日本大学法医学教室教授であり、数々の鑑定を手がけた。特に足利事件や、東電OL殺人事件など、有名な冤罪事件のDNA型判定において中心的な役割を果たしたそうだ。誤った判決に対する怒りが本書の底流にあり、間違った判決を下した裁判官の実名と、叙勲歴まで記す。

読もうと思って取ってあるのはこの本。

DNA鑑定 -その能力と限界-

DNA鑑定 -その能力と限界-

でも2005年発行書籍だから、今はもっと進歩があるだろう。
自分もDNAは扱うが、今ではキットを用いて様々な試料から簡単にDNAを単離しうる。ただし、扱いに気をつけないと試料から検出したいDNAではなく、試料が実験室に来るまでに付着した全く別人のDNAを増やしてしまうことになりかねない。
単に証拠が出たというだけでなく、その証拠の信頼性・再現性は常に気を配られるべきだ。