治療

オーダーメイド治療は精神科ではまだまだ先になりそうだ

薬物療法において、薬が効くか効かないか、それが予測できればどれだけいいだろう。前回紹介したアメリカの抗うつ薬効果研究(STAR*D)では、最初の治療薬(シタロプラム)で寛解まで至る患者さんは約1/3だった。現在使える抗うつ薬はSSRI、SNRIといった頻用され…

うつ病とモノアミン仮説

モノアミン仮説と製薬の歴史 先だってコメントに書かれた、モノアミン仮説(⇛週刊現代の精神科薬批判は的外れ)。 モノアミンとは(脳科学辞典参照)、アミノ基(-NH2)と芳香環(亀の子です)を化学構造に持つ神経伝達物質で、うつ病に関連しては、セロトニンとノル…

正常圧水頭症の予後を考える

正常圧水頭症といえば「治る」認知症として紹介されることが多い。 正確には特発性正常圧水頭症。特発性というのは、特別な原因がない、という意味で、なぜ水頭症になったのかはわからないということ。水頭症は、脳神経が浸っている脳脊髄液が、適切に排出さ…

開発中のアルツハイマー病治療薬はどうなった?

つい先日ヤフーでこんな記事があったので、気になったことなどを。news.yahoo.co.jp 記事内容は概ね頷ける。確かにアルツハイマー病(アルツハイマー型認知症)の治療薬は失敗続き。特にアルツハイマー病の原因は、加齢とともに、アミロイドβ42というタンパク…

優しい薬物療法を目指したい (2)

良い薬物療法はあなたに優しいはず さて、良い薬物療法はある意味悪い薬物療法の裏返し。 正しい診断のもと、症状を緩和したり治すのに十分に効果を望める必要最低限の量、可能なら出来るだけ少ない種類を。定期的で、十分な副作用対策(副作用対策は薬だけと…

優しい薬物療法を目指したい(1)

精神科や心療内科に訪れた方が時々口にするのが、「カウンセリングじゃ駄目なんですか?」という問いで、その言葉を聞く度に、精神科というイメージが持つ誤解や、時間制約のある現代精神医療の中では薬物療法が中心にならざるを得ないことや、名医と言わず…

知って面白い医学史

医学史は面白い。それは不謹慎だが人体実験の歴史だし、今から見るとまさかそんなことを権威じみた偉い人達が言っていたんだ、と当然こちらは後出しじゃんけんなのでずるいのだが、正しい治療に至るまで苦闘の歴史が偲ばれるというのもあるのかもしれない。 …

発達障害臨床雑感

この1年、自分のいるクリニックでは発達障害の診断や現在抱えている不適応や気分障害・不眠など精神科的症状に悩む人の受診が増えた。国際的な診断ツールである、ADOS-2(本人対象)やADI-R(養育者対象)を用いての出来るだけ客観的な自閉症鑑別の手段を使って…

ADHDの薬は何が理由で飲めなくなるか?

前回のblogに書いた、多くの人が持つ疑問、2つに関連して今日は書きたいと思う。 その2つは… ・依存症にならないの? ・もう絶対やめられないのではないか どうしてそんな疑問が出てくるのかと言えば、ADHDに使う薬、特にコンサータ(メチルフェニデート徐放…

コンサータやストラテラをめぐる葛藤について

・薬を使って良くなっても意味が無いのでは? ・依存症にならないの? ・もう絶対やめられないのではないか ADHDの方に薬を使うというとき、特に勉強している家族の方からはこんな疑問を呈されることが多い。一方、医者の立場からすると、ADHDには薬が有効で…

片頭痛予防について

何度も書くがdneuroは片頭痛患者でもある。 辛い発作の予防が出来ればと思う。片頭痛は診断から数十年は付き合わないといけない病気。きちんと診断されて治療をしていく必要がある。 1.まずは片頭痛の頻度を知ろう 何事もまずは情報。片頭痛治療をするにあた…

不老の薬があるかもしれない

研究の講演で将来を夢見ることができることはもう10年位なかったのだが、つい先日目の覚めるような話を聞くことができたので紹介したい。 過日このようなニュースがあったのをご存知だろうか。 www.konekono-heya.com ネコはどうも腎不全になりやすいらしく…

片頭痛の発作時治療

以前も書いたが、片頭痛は辛い。 発作は耐えきれないような頭痛とともに吐き気を伴い、光や音に対する過敏性を持つことで暗い中にじっとしていないといられない。 片頭痛に関して、その経済的損失が莫大であること、特に子供においては診断までに時間がかか…

睡眠薬はやめられるのか?

睡眠薬はやめられないんでしょう?とはよく聞かれる疑問だが、率直に言えば「止めるのが簡単な人もいれば、難しい人もいる。人さまざま」というつまらない答えが正しい。 睡眠薬をやめられないとすれば、それは退薬症状(離脱症状とも)や反跳性不眠という現象…

平成28年度診療報酬改定は精神科における多剤併用大量療法を駆逐するか?

精神科医療界には多剤併用大量療法という問題があった(今でも無いとはいえない)。 日本精神医療の黒歴史の1つ。 多剤併用大量療法だった日本 特に統合失調症治療において、幻覚・妄想を和らげる抗精神病薬を複数、その副作用対策としての抗パーキンソン病薬…

週刊現代はまたか…

週刊現代は的外れな医療批判を繰り返している。 今回も読んでみたが、なんというか、コピーの如く同じ批判を号を変えても繰り返すのは能が無い。いや他の出版社もまた的外れな現代医療批判を繰り返しているから、やはり医療批判が売れるコンテンツなだけだろ…

週刊現代の医学批判を考える

どうも週刊現代は医療批判に目覚めたようで、このところ特集が続いている。 今回は第一部として、「内視鏡・腹腔鏡手術の真実」、「医者が切りたがるがんも本当は手術しないほうがいい」。 センセーショナルな見出しと内容を見たければかなりな程度ネットで…

精神科の薬物療法はこれからも進歩するのか?

精神科治療において治療の中心に位置する薬物療法。精神科医から薬物治療を取ったら相当程度の精神科医がその専門性を失ってしまうだろう。 少なくても一部の疾患には薬物療法が必須であり(⇛薬について)、これからもその意義を失うことはないと考える。 そん…

完全無欠コーヒー本を読んでみた〜小麦グルテンって悪いの?

各種ダイエット法に夢を抱く人は多いが、残念ながら奇跡は存在しない。 いわゆる〇〇ダイエットの類はどれも極端であり、医学的蓋然性がないことが多い。身も蓋もないが、そもそも太るかどうかは遺伝的に規定されている。とはいえ、色んなダイエット法や健康…

週刊現代の精神科薬批判は的外れ

風邪薬が風邪を治していないというと驚く人が多い。あれだけ内科に行くと風邪薬をもらっていたというのに!ということで。 解説すると、風邪の多くはウイルス性だが、風邪ウイルスに対する直接的な薬は存在しない。よく貰う薬は日本では鎮痛剤や抗ヒスタミン…

精神疾患の治療について

精神疾患の治療…というとどうも人はカウンセリングという言葉が思い浮かぶようだが、一転実際に外来にかかると薬ばっかりという感想を抱く方も多いと感じる。 しかし実際のところ、精神疾患の治療は、生物学的治療(ほぼイコール薬物療法)+精神療法(対話によ…

震えと上がり症と城島さんと

人前で、大事な試合・演奏の前で、あがってしまうと震えてしまってどうしようもない、という人がいる。この震え(医学用語では振戦)にはどう対処すべきか? 多くの人は何事かする前に緊張する。人前で何かを発表する、スポーツで対戦相手と戦う、好きな人に告…

漢方ってなんだ?

現代医学的エビデンス至上主義者にとって漢方に代表される東洋医学というのは現代医学頭にとっての収まりが悪く、言ってみれば敵対的な存在だ。条件を統制した上での結果を積み上げる現代医学と、そもそも条件統制の発想がそぐわない東洋医学との会話は噛み…

ヒトはなぜワクチンを疑うのか? (1)

インフルエンザワクチンの季節だ。精神科臨床医の私が言うのもなんだが、ワクチンは接種したほうがいい。少なくても公衆衛生的には効果が明らかだ。なのに、接種しないという人がいるのも事実。それも結構多い。なぜそうなるのか今日は少しだけ考えてみたい…

薬について

精神科というと、カウンセリングのイメージが強く、薬の処方に違和感を覚える人もいる。何か訴えに対して、薬を出してオシマイと考えているんじゃないかしらと疑念も抱くだろう。 それは当然だと思うし、ましてや薬が多くなることに対して、不安や拒絶感を持…